株式やゴルフ会員権など
2025/09/05
これらは投資目的で購入されることも多いのですが、結婚してからの預貯金で購入している場合などは、夫や妻の単独名義でも財産分与の対象となります。有価証券は時期によって評価額が変動するので、通常は離婚成立時の評価額を基準としますが、離婚前に別居していた場合などは、別居時の評価額を基準とすることもあります。株式の分与に譲渡益が出た場合は、株式の名義人に譲渡所得税がかかります。
動産 (家財道具、車など)
2025/09/05
動産の評価額を評価しておおよその価格を出す方法もありますが、現物で分け合う方法が多いと思われます。車の価格については、中古車買取店に見積りを出してもらったりして、買取価格を目安にするとよいでしょう。
・住宅ローンや特有財産がある場合の不動産の分与方法
2025/09/05
たとえば、不動産評価額が5000万円で、妻の親から1000万円を購入の際に援助してもらい、住宅ローンの残高が3000万円の場合、財産分与の対象となるのは、5000万円から妻の「特有財産」である1000万円を引いた額である4000万円が「共有財産」となり、そこから住宅ローンの残高3000万円を引いた1000万円が分与の対象となります。不動産の購入にあたって、親から資金の援助を受けた場合などについては、その頭金部分が特有財産になりますので、それを考慮し財産分与をすることになります。
・住宅ローン付不動産の分与方法
2025/09/05
結婚時や結婚後に購入した家やマンションは、住宅ローンの返済が残っていれば、これを含めて財産分与の対象となります。たとえば、共有財産である不動産を売却して、住宅ローンの清算をし、残額を分けるという方法があります。不動産の評価額が5000万円、住宅ローンの残高が3000万円とした場合は、差額の2000万円が分与の対象となります。一方、不動産を売却しても住宅ローンの残額を清算しきれない、いわゆるオーバーローンの場合は、財産分与の対象にはできず、債務名義人が住宅ローンの返済を続けることになります。不動産の評価額が2000万円、住宅ローンの残高が3000万円といった場合です。住宅ローン付不動産の財産分与にあたり、住宅ローンの債務者を変更しようとする方がいらっしゃいます。しかし、住宅ローンは銀行などとの契約であり、銀行など金融機関は債務者変更に応じることは通常ありませんので、住宅ローンの債務者を変更することはかなりむずかしいことです。
・不動産の分与方法
2025/09/05
不動産を売却後に代金から経費を引いた売却益を分ける方法や夫婦のどちらかが所有して相手方に分与の差額を現金で支払う方法などがあります。不動産を取得した場合には、不動産登記所で名義変更の登録手続をする必要があります。不動産を分与する側(名義人)には、譲渡所得税が課せられる可能性があります。ただし、居住用不動産を分与する場合には、離婚成立後に分与することにより、分与する側は3000万円を限度に譲渡所得の特別控除を受けることができます。この控除は、配偶者や一定の親族には適用されず、離婚後でなければ受けることができないので気をつけましょう。一方、不動産を取得する側には、不動産取得税と登録免許税がかかります。また、毎年、固定資産税を負担することになります。結婚20年以上の夫婦にされますが、離婚前に居住用不動産の贈与を受けて、贈与された側が、そのまま続けて贈与を受けた不動産に居住する場合には、通常の控除の110万円とは別に贈与税の特別控除として2000万円を限度に控除が受けられます。この場合、贈与を受けた側は、不動産取得税と登録免許税がかかります。一方、贈与した側には税金はかかりません。贈与税の特別控除は、結婚20年以上の夫婦にかぎられますので、離婚前に居住用不動産の贈与をしなければ、受けることができないので気をつけてください。
・不動産の価値の評価
2025/09/05
不動産については、不動産鑑定士に依頼し、所有している不動産の価値を評価してもらう方法があります。が、正確な数字が出る分、鑑定料もそれなりに高額になります。その他の評価方法としては、たとえば路線価、公示価格、購入時の価格、不動産業者に売却依頼をした査定書などを目安にするとよいでしょう。不動産価格の評価の時期は、離婚成立時や別居時など婚姻関係が破綻したととされることが一般的ですが、別居時から離婚時までの間が相当の時間が経過しており、不動産の価値が大きく変わっているような場合、裁判では口頭弁論終結時の不動産の評価を行っています。
現金・預貯金
2025/09/05
金額が明らかですから問題になることはさほどありません。もっとも、たとえば、婚姻前から有していた預貯金や親から贈与を受けた分、相続したものなどについては特有財産になりますので、財産分与の対象からは除外することになります。現金・預貯金の財産分与は、原則として非課税です。ただし、多額と判断された場合などには、贈与税が課せられることがあります。
財産についての留意点―家具や家電、退職金も対象に
2025/09/05
共有財産は、すべて財産分与の対象となります。すなわち、現金や預貯金だけではなく株式などの有価証券、土地・建物などの不動産、家具・家電類、年金や退職金なども対象となります。住宅ローンや借金など、夫婦の日常生活を営むために生じた負債に関しても、財産分与の対象となります。
財産分与の方法と取決め時期
2025/09/05
財産をどのように分けるかについては、基本的には夫婦で話し合って自由に取り決めることができますが、すっきりと話合いで解決することがなかなかむずかしいものです。それぞれの離婚後の家庭事情や、結婚生活中の貢献度などを考えて話し合うのですが、考え方の違いなどでぶつかることが多いからです。財産のうち何をどちらがもらうべきかをはっきり伝えたうえで、ほしいものの優先順位をつけて話し合っていくとまとまりやすいかもしれません。財産分与の方法には主に以下のような方法があります。・分割できない財産を自分が保持する代わりに相手方に相当の金銭を支払う・財産を売却してその売却代金を分ける・自宅の土地・建物は妻、株式は夫、などと現物ごとに分ける金銭の場合、一括払が原則ではありますが、一方の支払能力に応じて分割払になるケースもあります。財産分与や支払方法が決まった後は、その内容をまとめた文書を作成しておくことをおすすめします。分割払の場合は、将来支払が滞った場合を想定して、公正証書を作成しておくのがよいでしょう。公正証書があれば、裁判所に対して給料の差押え等の強制執行の申立てを行えます。給料の差押えをすると相手方の会社に対して差押通知が行き、給料の一部を会社から支払ってもらうことができます。公正証書についての注意点は、188ページのコラムを参照してください。財産分与額の確定や請求はできるだけ離婚前に解決しておくことをおすすめします。いったん離婚が成立した後では、連絡がとれなくなって話合いに応じてくれない場合もあり、財産が使われてしまう可能性があるからです。財産分与についての話合いが離婚までにまとまらなかった場合や離婚時にわからなかった財産が後から発覚したときは、離婚をしてから2年以内であれば、調停や審判という手続を利用して財産分与を請求することができます。
分与の割合をどうするか
2025/09/05
財産は、夫婦で2分の1ずつ分けるのが基本です。話合いで財産分与の割合を決めることは自由です。しかし、財産分与の割合などが話合いでうまくまとまらない場合には、裁判所での調停や裁判を通して、財産分与についての取決めを行うことになります。そこでは、婚姻期間、財産の内容や状況、それに対しての貢献度、離婚後の生活の見通しなどを総合して判断します。二人が財産を築き上げるにあたって、どれくらい貢献したのかが大きな判断材料となって、分与の程度が決まります。家事育児なども貢献として認められるため、夫が稼いできた給料を貯めた預金などについてもしかっかり分与されます。共働きであった場合ですが、夫のほうが妻よりも多く収入を得ていたとしても、収入の差は考慮されず、基本的には5割ずつに分けられることが多いようです。ただ、労働時間や勤続年数などに大きな差がある場合は、それが考慮されることもあります。専業主婦の場合は、以前は共働きにくらべると家事が労働として低く見積もられがちでしたが、近年では5割と見なされるようになりつつあります。夫が経営する会社の資産の場合、会社は夫と別人格と見なされるため、分与の対象になりません。ただし、夫が個人で営業している実態がある場合、分与の対象になることがあります。
負債(借金)があった場合の財産分与
2025/09/05
借金などの負債がある場合は、プラス分の「資産」から、マイナス分の「負債」を引いた残額を「財産」として分与することになります。プラス分の資産からマイナス分の負債を引いた残額がマイナスの場合、財産分与すべき財産がないといえます。借金は、原則として借金をした者が返済をすることになります。この場合、負債をどこまで「夫婦としての負債」と判断するかにについても、共有財産、特有財産の考え方を当てはめます。婚姻生活のために、たとえば結婚後にマンションを購入した住宅ローンや生活費のための借金は「共有の負債」となりますし、どちらか一方が婚姻生活とは関係なくできた負債、たとえば競馬にお金をつぎ込んで膨れ上がった借金であれば「特有の負債」となります。つまり、婚姻生活を継続していくための借金であれば、財産分与の対象となり、ギャンブルなど婚姻生活には関係のない個人的な借金は財産分与の対象とはなりません。
「特有財産」は分与の対象外
2025/09/05
「共有財産」に対し、どちらか一方の財産として認められるものを「特有財産」と呼びます。特有財産には、どちらか一方が結婚前からあらかじめもっていた財産と結婚期間中でも「夫婦の協力」で得たとは見なされない財産があります。たとえば、結婚前にすでに貯めていたお金(預貯金)や購入済マンションなどどちらか一方が結婚前にあらかじめもっていたものであれば、結婚期間中であっても、特有財産と見なされます。また、結婚期間中であっても、相続で取得した財産などは、夫婦が協力して取得した財産とはいえないので、特有財産となります。しかし、特有財産であっても、夫婦の協力によってその価値が上がったなどといえる場合は財産分与の対象となるケースもあり得ます。たとえば、夫が婚姻前から有していた不動産を、妻が管理・運営したり、夫の事業を手伝うなどすることにより価値が上がった場合などは、それにより得た利益は共有財産といえることがあります。